国際武装組織アルカイダの指導者、オサマ・ビンラディン容疑者がパキスタンで殺害されたニュースはイラク、アラブのメディアでもトップニュースで報じられた。
バグダッドの中心地タハヒール広場前のテレビ塔では、ビンラディン死亡のテレビニュースが流れ、驚いた表情で立ち止まる人たちの姿が多く見られた。
会社員のアウス・サーメルさん(30)は、
「ホッとした。アルカイダの外国人たちはイラクをめちゃくちゃにした。あとはアルカイダ側からの報復攻撃がないことを祈るのみだ」
主婦のロナヒ・モハメッドさん(62)は、
「ビンラディンをつくったのはアメリカで、それを殺したのもアメリカ。アメリカのせいで私たちの家族が殺された。ビンラディンを支持はしないが、テレビでアメリカ市民がお祝いのように喜んでいる姿を見て怒りを感じた」
政府中枢機関や米国大使館などが集中するインターナショナル・ゾーン(旧グリーンゾーン)のゲート前にはニュースを聞いた市民50人ほどが集まっていた。
「ビンラディンが死んでも何も変わらない。水、電気、仕事をなんとかしてほしい」
市民は口々に話した。
アメリカは2003年にイラクを侵攻した理由のひとつに、フセイン元大統領とアルカイダとの関係をあげていたが、その後、米国上院情報特別委員会はアルカイダとのつながりを示す証拠はないと否定した。イラク戦争以後、殺害された民間人の数は10万人を上回るといわれる。
【バグダッド・玉本英子】