第4回 証拠のフロッピーディスクを検察が改ざん

板橋洋佳(いたばし・ひろよし)朝日新聞大阪本社 社会グループ記者(2011年5月10日付で東京本社社会グループ記者)
板橋洋佳(いたばし・ひろよし)朝日新聞大阪本社 社会グループ記者(2011年5月10日付で東京本社社会グループ記者)

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情報源の特定につながってしまうので、ある検察関係者としか言えないのですが、その人の話によれば、上司に報告しなかったのは事実だと思うが、理由はわからないというのです。
そして、捜査ミスをめぐるディスカッションをする中で、実は主任検事がフロッピーディスクのデータを6月1日から8日頃に変えたということ、つまり、証拠となるフロッピーディスクのデータを捜査の見立てにあうように改ざんしたという話を聞き出せたわけです。

その話を聞いたときは改ざんした日付は特定できませんでしたが、8日ごろに改ざんしたとすると、6月上旬に村木さんが部下の元係長に指示をしたという検察が主張しているストーリーにぴったり合うんですね。

客観証拠をさわるというのは想像を絶していましたから、それは衝撃でした。たとえば銀行通帳の記載や携帯電話の履歴等は、信じられる情報だと、みなさん受けとめますよね。刑事裁判でも同じです。客観証拠とはそういうものです。
そういう客観証拠があるからこそ、裁判員裁判などで、短い期間で迅速な結論を導きだせるともいえるわけです。
客観証拠を自分の都合の良いように変えたということは、そういう刑事裁判の根幹をも崩すことになると考え、なんとしても記事にして世に出さなければいけないと考えました。

しかし、その段階では、たった一人の内部証言しかなかったし、しかも匿名になるというのはわかりきっていましたから、こんな匿名証言があるとすぐに記事にしても、検察側にそんな証言は知らないと言われてしまえば、それまでです。
証言だけに頼らず、証言を裏付ける確固たる証拠を得なければいけないと考えました。
そして、フロッピーディスクを改ざんしていた、という証言を裏付けるために私が思いついたのがフロッピーディスクのデータの「鑑定」という手段でした。
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