◇多く供出した者は掲示板で称賛も

平壌市江東(カンドン)郡の公設市場の入り口に設置された黒板。「援軍美風の先駆者たち」と題し、軍糧米を多く納めた商人を称賛している。2011年2月 撮影 金東哲(キム・ドンチョル)(C)アジアプレス

北朝鮮政府が軍隊への食糧供出を、一般家庭のみならず、市場の商人にも求めている事実が明らかになった。
北朝鮮内部情報誌「リムジンガン」の記者として活動する北朝鮮人ジャーナリスト金東哲(キム・ドンチョル)氏は、今年2月、平壌市内の市場の様子を秘密裏に撮影、今月、アジアプレスが世界に公開した。

平壌市郊外の江東(カンドン)郡の公設市場で撮影された映像には、2月3日の旧正月を控え、人出の多い市場の様子が収められている。中でも目を引くのは市場の入り口に大きく掲げられた一枚の黒板だ。

「援軍美風の先駆者たち」と題され、商人の名前と扱う品目、そして徴収に応じた軍糧米の量が一覧できるよう記されている。「雑貨2組 リュ・ヨンシル 50キロ」「工業 リム・ギョンヒ 40キロ」など、黒板には総勢8名の名前が見える。

撮影者の金記者によると、軍糧米を徴収するのは市場を管理する公務員。人々が商売しているところに来て、直接コメやトウモロコシを集めていくという。その過程で不満を持つ商人との間で言い争いになることも多いとのこと。取材時は商人ごとにトウモロコシ10キロを集めていたという。

また、このように黒板に模範的な供出者を大々的に書き出すようなことは、ここ数年で初めてのことで、今年になって各地でこうした姿を見かけるようになったと、金記者は語った。
(取材=金東哲 整理=李鎮洙)

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