第9回 公開議論・質疑応答 (3)冤罪報道 メディアは誰が監視するのか
パネリスト:石丸次郎(アジアプレス・インターナショナル)
板橋洋佳(朝日新聞記者)
司会:合田創(自由ジャーナリストクラブ)

左・合田創(自由ジャーナリストクラブ) 中・板橋洋佳(朝日新聞記者) 右・石丸次郎(アジアプレス・インターナショナル)
左・合田創(自由ジャーナリストクラブ) 中・板橋洋佳(朝日新聞記者) 右・石丸次郎(アジアプレス・インターナショナル)

20110603_journalism004(合田)
では、会場からのふたつのご質問を紹介します。
ひとつ目は、権力を監視するのはメディアの役割であるというのはその通りだと思いますが、そのメディアが正しい取材をしているのかということに関しては誰が監視していると思いますか。

村木さんが、メディアも権力をもった特殊な組織であるからしっかりしてほしい、と言っておられますが、その点についてはどう思いますか。
もうひとつは、どうすれば冤罪報道を規制できるでしょうか。

(板橋)
メディアはだれが監視できるのか。ひとつ言えるのは、読者だと思います。読者からすると、私たちの声なんか聞かないんじゃないか、と思われるかもしれませんが、その声が多く集まれば集まるほど、大きな力になると思っています。
これは私からのお願いでもありますが、朝日新聞を読んで思ったことをネットでも電話でもいいので投稿してほしいのです。

大切なのは、もし不満がある場合は、「取材力が足りない」と言ってほしいと思っています。
資料を分析すること、内部証言や内部資料を得ること、わかりやすい記事にすることなどを取材力と定義すれば、記者にとって、取材力がたりないと言われるのが一番効果があるのではないかと思います。
読者からそういう指摘があれば、私なら奮起します。

それと、もしよろしければ、いい記事があれば、その取材力を褒めていただければと思います。「子どもじゃないか」と怒られるかもしれませんが、読者のみなさんから、今回の記事よかったよ、と言われるとやっぱり現場の記者は嬉しいんです。
また、マスメディアの監視ということで、もうひとついえば、フリーランスのジャーナリストの存在も大きいと思います。
冤罪報道に関しては、わたしは朝日新聞を代表して言える立場ではないので難しいんですが、担当の記者が自覚を持たなければいけないと考えています。

結局、取材しているのは、個々の現場の記者です。社長とか編集局長がやれと言っているからではなく、現場の記者たちが自ら勉強して、取材をつづけることに尽きるんです。
結果的に冤罪を生む報道に加担してしまったら、それに対してどういうアクション起こせるのかも問われていると思っています。つまり、捜査ミスをみつける取材をするとかですね。
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