座って世間話を交わす人々。テゴリの仕事で良く顔を合わせるのだろう。気心の知れた仲のようだ。


女性1
:...軍糧米を出せ、出せとしつこくて、頭がどうにかなりそうよ。順川(スンチョン)市の橋では、取締りがあって、食糧を運んでいた人は全て没収されたそうよ(農村からの食糧搬出は違法とされる)。

女性2:農場ではどれくらい軍糧米を出すんだって?

女性3:作業班長(協同農場では実際の農作業をいくつかの作業班ごとにおこなう。班には20~30人が所属する。作業班長は農場の中堅幹部)は100キロ、分組長(作業班の中に最小単位「分組」が置かれている。分組長は末端幹部)は50キロ、農場員(一般の農民)は30キロだそうよ。

:それがノルマなんですか?
女性3:そう。商売をしている人には無条件で30キロ

女性2:労働者は30キロ、幹部は500キロ。

:幹部というのは?
女性1:私が知っているのは管理委員長(協同農場の行政上の責任者)は1トン、党書記(協同農場にいる朝鮮労働党の責任者)も1トン、作業班長は500キロだったわ。それが出せない幹部は地位を追われるそうよ。

女性3:それより順川市の橋では食糧の運搬を取り締まって没収しているんだって?

女性1:まったく軍糧米のせいで気が気じゃないわ。おかしくなりそう。

男性1:だいたいこうやって(食糧を運んで)やっと生計を維持している俺たちから軍糧米として食糧を没収するなんて、いったい俺たちに飢え死にしろとでもいうのか?

青年男性は職場に出なければ強制労働刑になる。しかし最近では職場に一定のお金を納めることで、自由な時間を得て、個人の仕事に精を出すケースも多い。

テゴリ商売を行う人々の不満はずいぶんと高いようである。今回の取材で明らかになったのは、政府は食糧がある所に狙いを定め、効率よく軍糧米をかき集めようとしているということだった。軍組織に食糧は無いが、協同農場や住民の手には食糧が流通しているからだ。そのような食糧の集積地といえばジャンマダン(市場)だ。私は近くの公設市場を取材してみることにした。
(取材:金東哲 整理:李鎮洙)
(つづく)

★新着記事