Q:一つの人民班につき、いくつ納めたのでしょうか。
A:人民班別ではなく、世帯ごとに三つか四つを納めろということでした。それで私たちは三つ作りました。

Q:材料は支給されましたか?
A:いいえ、全部「個人負担」ですよ。家にある使い古しのクギなどを使い作りました。
北朝鮮から中国へ向かう理由は様々だ。チャさんのように家族を養うために一時的に出稼ぎをしようと、逮捕のリスク覚悟で中国に渡る人もいれば、嫁不足の中国の農村へ嫁いでいく若い女性もいる(人身売買の被害者としてのものから自発的なものまで、その様態と過程は複雑だ)。また、骨董品を持ち出し密売するといった危険だが実入りの良い密輸を生業とする者もいる。もちろん、初めから韓国入国を目指して渡河する人もまた、少なくない。

渡河を決心した人たちに共通するのは「生きるために川を越える」ということである。平壌や権力機関、基幹企業所などを除いて、今や配給制度は崩壊した。しかし、政府は有名無実化したこの配給制度に固執し、人民が生きるために自由に経済活動を行うことを許さず、稼働もしない職場への出勤を強要している。職業は自由に選べない。国内の移動制限は依然として存在するし、旅券を作って合法的に国外に出稼ぎに出ることなど、一般民衆には夢のまた夢である。

だからこそ少なくない北朝鮮の住民が、祖国を離れて収入の道を探ることに、最後の希望を託すのだ。それに対し金正日政権は、越境行為を物理的に阻止する最後の防衛線として、住民に対し、危険な罠の供出を求めたのである。

Q:そのクギ板は当局によって設置されたのでしょう。チャさんは豆満江を渡る際、怖くありませんでしたか? クギを踏むかも知れないと。
A:そのような心配はしませんでした。私が中国へ渡る時も、やはり警備隊に金を渡しましたから。当の警備隊が「奥さんこっちを通って行きなさい」と教えてくれましたよ(笑)。茂山郡では無計画に川を渡る人はいません。

Q:誰かがそのクギ板を踏んだという話を聞いたことがありますか?
A:知らずに踏んでしまった人がいたと、一度聞きました(茂山郡を通じ脱北しようと、他の地域からも大勢の人が来る)。踏んだ人に直接会ったことはありません。
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