◇国軍による人権侵害深刻化 国連調査団の設置を求める声も
ビルマ(ミャンマー)東部のシャン州で、国軍と「北部シャン州軍」(ビルマの少数民族武装勢力の一つ)との戦闘の影響で3月から現在までに約3万人の住民が国内避難民となったと、現地の事情を把握している亡命者組織のシャン女性行動ネットワーク(本部チェンマイ)などが10日に発表した。
北部シャン州軍と国軍は今年3月、22年ぶりに停戦を破棄して交戦を開始。以来、シャン州北部で断続的に戦闘をしている。7月に入ってから国軍による攻撃が激化し、シャン女性行動ネットワークの調査によれば、国軍兵士による強姦や超法規的処刑、強制労働など、民間人に対する虐待行為も多数発生している。
シャン州北部では、こうした虐待行為や戦闘を逃れようと現在までに3万1,700人が家を離れたと、同ネットワークは主張している。避難民の大半はジャングルに隠れて野宿しているため、食料や水、薬が不足し、既に少なくとも数十人の避難民がマラリアや下痢等で死亡したとのことだ。
米国では10日、連邦議会の女性上院議員13人がクリントン国務長官に手紙を出し、国連調査団設置の実現に向けて一層の努力をするよう求めた。議員たちは、シャン州北部で国軍兵士がシャン民族女性を強姦したという報告にも言及し、国軍が強姦を戦争の武器として使用するのを止めるよう働きかけてほしいと長官に訴えた。
【寄稿:秋元由紀/ビルマ情報ネットワーク】