:なぜ鍬を持っているんだ?
兵士1:あの...お宅には、副食物(おかず)はありますか?

:なぜ?
兵士1:何かおかずになるようなものが必要で...

:野菜の塩漬けでもいいか?
兵士1:はい。
ここで兵士は隣にいた同じく士官学校の生徒に声をかけた。別の部隊にいるが顔見知りのようだ。
兵士1:(隣の兵士に)僕は実はナズナを採りに出てきたんだ。

:ナズナを採りに?
兵士1:そうです、こっそりと出てきました。軍官(将校)同志のおかずが足りないので。
兵士2:私は給水管の見張りに出てきました。

:給水管を?水を盗まれないようにか?
兵士2:ここから私たちの部隊まで給水管が通っているのですが、途中で管に穴を開けて水を汲んでいく住民が多いんです。そうなると部隊で水圧が下がるので、それを防ごうと。

:そうか...(兵士1に)君はナズナを採りにきたのか。
兵士1:はい。

:私が塩漬けをあげよう。そうすればナズナを採らなくても済むんだろう?
兵士1:はい。
兵士2:どうせ採っても軍官(将校)たちだけで食べるんだろうし...(自分たち)生徒なんて...

:軍官たちもおかずが無いのか?
兵士1:人造肉(編集部注:油を絞った大豆の滓を固めて乾燥させたもの)などが少しばかりありますが、それでは足りませんから。

:野菜の塩漬けも無いのか?
兵士2:あることはあるんですが...甕や筒で漬けずに布袋で漬けるので、まずいんです。
兵士1:カビも生えてくるし...
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