◆ 平壌
「一〇年一二月までの兄弟山(ヒョンジェサン)区域は午前二時間、午後二時間ほど電気がくる程度。親戚のいる西城(ソソン)区域中新(チュンシン)洞は全く電気が来ない日が多い」。
(中国に出て来た四〇代の貿易業の女性)
「兄弟山区域では一〇年一二月から一月の一〇日過ぎまで、電気が全く供給されなかった。配電盤が爆発して故障したが、修理のための費用が集まらず放置されたままだ。市内中心部には夜だけ電気が供給されているが、一〇分間隔で途切れるなど不安定」。
(親戚訪問で中国に来た六〇代の女性)
「一一年二月に入ってからの江東(カンドン)郡の一般家庭の電気供給は、一番良かった日で一日に三時間程度、一秒も電気が来ない日が数日あり、平均すると一日に一~二時間程度だ。ポンプが動かなくなって水道が出ず、地下水や湧水を汲みにいかねばならないのだが、おりからの寒波で水が凍り、住民たちは大変な苦労を味わっている。
電気事情の悪化の原因は、東平壌火力発電所に燃料の石炭が充分に供給されないためだと思う。外貨稼ぎのために石炭が中国への輸出に回されていると聞いた」。
(江東郡在住のリ・ミヨン記者の電話報告。江東郡は、平壌市の東部郊外に位置し、田園地帯も広がる一方、軍需工場が集中している地域)
「平壌市中心部に優先的に電気を回すために、郊外地区への電気供給が減らされている」。
(一一年二月と四月に平壌に滞在したキム・ドンチョル記者)
◆ 咸鏡北道茂山郡
中国との国境に位置し、外貨獲得のために鉄鉱石を産出しており、優先的に電気供給がある。以下は、咸鏡北道茂山郡に住む三〇代女性による電話報告。
「九月二八日から三日間、電気はまったく来ていない。区域の電圧機が故障したためだというが、修理の金を住民に負担させようとしたが集まらず、いつ復旧するかわからない」。(一〇年九月)
「一月二一日には一時間だけ電気が来た。(編集部から送られた中国の)携帯電話の充電にもひと苦労だ。以前は、地区ごとに交代で二、三時間の供給があったのに、今はそれもない」。(一一年一月)
「三月二六日から三日間、一秒の電気も来なかった。巷では、(金日成主席の誕生日である)四月一五日に子どもたちに菓子の無償配給をするために、菓子工場に電気を集中させているからだというが、真偽はよくわからない。茂山鉱山には電気が行っているようだ」。(一一年三月)
茂山鉱山の稼動を優先する一方、住民への電力供給は抑えられているようだ。
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