◇輸入トップは原油とガソリン 対中貿易赤字は約4億ドル
韓国貿易協会国際貿易研究院が9月5日付けで発表した「2011年度上半期 北中交易動向比較」によると、今年上半期(1-6月)の北朝鮮の対中国輸出は10億5653万ドルで昨年同期比で約三倍増(203.6%)を記録した。

南坪鎮から臨む茂山郡の全景。奥に見えるのが茂山鉱山。手前の川は国境の川、豆満江。2010年7月 李鎮洙撮影 (アジアプレス)

 

また対中輸入は14億5195万ドルに達し、前年同期比54.6%増だった。対中貿易赤字額は3億9542万ドルだった。
輸出のトップは鉱物性生産物で石炭、鉄鉱石、マグネサイトで合計6億8096万ドル、全輸出額の64.5%を占める。そのうち石炭および固形燃料は5億53万ドルに及び、前年同期比で628.7%も増加している。石炭(および関連製品)だけで、総輸出額の半分近くになる。
輸出額の二番目の品目は鉄鉱石で1億1675万ドルで前年同期比84%増。これはほぼ全量が北部の咸鏡北道の茂山(ムサン)鉄鉱山からの輸出だと思われる。

北朝鮮が地下資源の切り売りに依存して外貨を稼いでいる構造が、統計値にくっきり現れている。
アジアプレスの北朝鮮内部の取材パートナーで、北朝鮮内部情報誌「リムジンガン」記者の金東哲(キム・ドンチョル)氏は、
「施設の老朽化、電力不足、労働者への配給食糧の不足から石炭生産はずっと不調だ。にもかかわらず外貨稼ぎを優先させているため、石炭の国内消費分が減らされている。火力発電、国内の工場の燃料、軍隊の暖房用に回されるべき石炭がちゃんと供給されず、支障が出ている」
と話す。

左が鴨緑江大橋。鉄道と車両が並んで通る仕組みになっている。右の橋は朝鮮戦争のさなかの1950年11月、米軍の爆撃により破壊され、その後使われていない。現在は「鴨緑江断橋」と呼ばれ観光地となっている。2011年5月 アジアプレス取材班撮影(アジアプレス)

一方の今年上半期の対中輸入は14億5195万ドルで前年同期比54.6%増を記録した。原油とガソリンおよび石油燃料の輸入が3億4875万ドルで全体の約24%を占めた。この他、輸送用自動車の6874万ドル、繊維の5015万ドル、電話機などの通信機器の4350万ドル、肥料の3975万ドルなどが続いた。深刻な食糧難が伝えられていたが、食糧など植物性製品の輸入は7250万ドルだった。

輸送用自動車の輸入が多いのは、中国製の中古トラックやバスの需要が旺盛なこと、また通信機器の輸入は、昨年携帯電話サービスが始まったことによると思われる。
(注:発表の統計値の千ドル以下は四捨五入した)
【石丸次郎】

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