「ウルリム会社」と「一一六機動隊」
北朝鮮で「サービバス」を運営している代表的な会社が「ウルリム(〝鳴る〟の意)会社」と「一一六機動隊」だ。「ウルリム会社」は軍部(人民武力部)が、「一一六機動隊」は警察(人民保安部)が運営しているとキム・ドンチョル記者はじめ、多くの内部の取材パートナーが語っている。
規模は「ウルリム会社」の方が大きい。これは人民武力部の「機動旅団運輸課」が仕切っており、本社は平壌市楽浪(ラクラン)区域統一(トンイル)通り勝利(スンリ) 洞にあったという。もともとは外貨稼ぎのための貿易会社だったものが、バスの運営も始めたのだそうだ。実際に「ウルリム会社」を訪ねたことのあるリ・サンボン氏によると、立派な建物であったという。
一九九九年頃、「ウルリム会社」は小さな規模で試験的に長距離バスを運行しはじめた。当時は中古の日本製バスを使っており、路線の種類も、バスの台数も少なかった。当時茂山(ムサン)郡に住んでいたある取材協力者は、「咸鏡北道の清津(チョンジン)市から茂山郡や会寧(フェリョン)市に向かうバスはウルリム会社が独占している」と、石丸次郎とのインタビューで語っている。
それが二〇〇一年から〇二年ころにかけて、全国的に展開するようになり、各道ごとに支社が建てられた。試験運用の結果、「運輸事業は儲かる」という手応えを得たからだと思われる。
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