「ウルリム会社」の場合、「サービバス」の従業員は、バスを所有する各道ごとの「ウルリム会社」に雇用される。人事権はすべて社長(支配人)が持っている。北朝鮮社会でバス会社は大変な人気職業だと、リ・サンボン氏は言う。本人とその家族への食糧配給と給料が完全に保障され、運行途中での食事代もすべて会社持ちとあって、あの手この手で雇ってもらおうとする人が多いとのことだ。
また、社長の方も、有能な人材であるならば、その人物が現在勤める企業所にお金を払ってでも自分の会社に引き抜いてくるという。また、「ウルリム会社」をはじめ、バス会社を営む機関は必ずその売り上げの一部を金総書記に上納しなければならないのだそうだ。
読者もお気づきだろうが、このようなバス運営や雇用の方法は、資本主義社会のそれとまったく変わらない。燃料代や人件費、減価償却費を計算した上で料金が定められる。市場経済の中で合理的かつ効率的に、利益を追求する組織になっているのである。