「ぼくたちは見た~ガザ・サムニ家の子どもたち」監督・古居みずえインタビュー(3)
(聞き手:アジアプレス・ネットワーク編集部)
■ 日本の震災のことをパレスチナの人たちは知っていますか?
古居:すごく大きなニュースだったので、世界中の人がきっと観ていたと思いますが、パレスチナの人たちは、政治的な動 きが生活にすぐ影響しているためテレビを必ず観ている。ですので、日本の震災についても知っていて、親はもちろん子どもたちまでけっこう観ていたと思いま す。震災後、現地の人が心配してくれて、電話をいただきました。
■ 古居さんは震災後、被災地に通われているそうですが、パレスチナと背景は違うものの、取材をしているなかでパレスチナの人たちと何か共通するものや感じることはありますか?
古居:そうですね。やはり瓦礫を見たとき、これはある意味でパレスチナの情景だな、と思いました。そして、こうした物 理的な面だけではなくて、子どもたち自身を見たときに親を亡くしていたり、本当に大切なものをなくしているという意味では、パレスチナとすごく似ていると 思ったんですね。パレスチナと福島と比べた場合、私は福島県の飯舘村というところに通っているのですが、そこは村ごと追われていく、村ごと無くなっていく という現実があって、それを見たときにパレスチナの人たちが故郷を奪われるということを見たような気がしたんです。
そこにいる人たちがどう去っていくか、去らざるをえなかったか、どれほど悔しい思いをしているのか、そういったことを撮ってきたんですね。
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