もたらされた文書は大きな3つの束になっていたという。それらをスコット・シェーンも含めた15人の記者と2、3人の記者補助とで手分けして精査した上で、報道すべき約100の公電を選び、国務省に協力を求めたという。
これについてスコット・シェーンは、一義的には正式な公電である事を確認する必要が有ったということだった。
しかし一方で、公電のどの部分について報じないかを確認する作業だったとも認めている。国務省との作業の結果、名前や肩書きが出ることで生命や身分が危うくなる立場の人間については削除することを決めたという。
「それはどういう立場の人だったのか?」との問いに
「人権活動家やジャーナリスト、それに政府高官や軍人など、アメリカの外交官に情報を提供していたことが明らかになることで不都合な立場に置かれる危険の有る人たち」と答えた。
また、ボブ・シーファーの「その結果、何か出さなかったモノがあるか?」との問いに、スコットは、「いくつか有った」と答えた。
一方、事前に情報が提供されていなかったワシントンポストはどうだったのか。
カレン・ディヤングは、「ヨーロッパのメディアが情報を流す時間まで体制を組んだ状態で指をくわえてみるしかなかった」と話した。ここでニューヨークタイムズとは言わないところに、ワシントンポストの悔しさがにじみ出ているように思える。
ワシントンポストはニューヨークタイムズに追い付け追い越せと頑張り、ウォーターゲート事件報道の実績などで頑張ってきた。
そのワシントンポストはニューヨークタイムズに大きな記事が出ることを知りつつ、WLのネットに内容がアップされるまで何もできずに待ったという。これほどの苦痛は無いだろう。
ニューヨークタイムズなど事前に公電を入手したメディアは28日の午後、予め決められていた解禁時間が来ると同時にネットでニュースを流している。
(つづく)