正恩氏の偶像化示すプレート。金総書記とともに正恩氏も同行視察した。「金正恩同志がお寄りになられた贈り物の温室 2009年4月26日」とある。2011年5月 元山(ウォンサン)にてパク・ヨンミン撮影(アジアプレス)

 

◇世襲後継に向けた官製メディアによる地ならし

金正日総書記が産業施設や軍部隊を視察したり、外国要人と会見する際、北朝鮮官製メディアは同行する側近の名前を列挙するが、10月に入ってから息子の正恩氏を筆頭に挙げることがすっかり定着している。

朝鮮中央通信が最近伝えた動静報道の一例を挙げよう。22日報道の朝鮮人民軍第985部隊指揮部訪問、同じくクァンドクのブタ工場現地指導、23日報道の咸鏡南道での「働き手、労力革新者、科学者、技術者」のために催した大宴会、24日報道の、中国の李克強副総理との会見などで「金正恩同志」を金総書記の次に紹介。金総書記から少し離れた位置にいる正恩氏の姿を写真でもしきりに報じている。

少し前までは、軍の最高実力者の李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長や、金総書記の実妹の夫の張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長らの名が先にあったのだが、今やすっかり「ナンバー2」が定席となったようである。

ねらいは、世襲後継を既成事実化していくことと、正恩氏イメージを国内外に定着させていくことだと思われる。
来年の「強盛国家」建設に向けて、正恩氏への偶像化作業や実績宣伝が加速化していくと思われるが、その速度のメルクマールとして今後注目されるのは
①来年1月8日の正恩氏の誕生日を「祝日」とするか
②正恩氏の名で、具体的な政策や指示がいつ出されるか
③肖像画が登場する時期
④朝鮮総連内部でいつ次期後継者として公式化されるか、などである。
(石丸次郎)

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