イランのアフマディモガッダム治安維持軍(警察)司令官が、「文化イスラム指導省の許可なく海外の衛星チャンネル、特にペルシャ語チャンネルと協力した者には、厳正に対処する」と発表した。26日、イスナー通信の報道を、改革派各紙が報じた。
イランでは国内においても、文化イスラム指導省の許可なく音楽活動(CD販売や公演など)を行なうことは禁じられており、ポップスやロックなど、当局の許可が下りる見通しのないジャンルの歌手やグループは、危険を犯して海外の衛星チャンネルにビデオクリップを送り、作品を発表している。
仮に国内の許可が下りたとしても、イランには放送メディアが国営しかなく、歌番組も存在しないため、アーティストたちは海外メディアに頼る以外、活路を見出せないのが現状だ。
アフマディモガッダム司令官は、「海外の衛星チャンネル、特にペルシャ語チャンネルは、敵の情報機関から財政支援を受け、イランに文化的、政治的影響力を及ぼすため、時には国内騒乱の司令塔として運営されている」とし、「基本的にはこうしたチャンネルとの協力は禁止だが、国内のアーティストたちは、文化イスラム指導省の許可を取ることによってのみ、海外の正式な、そしてペルシャ語以外の衛星チャンネルと協力することが出来る」と述べた。
イランでは年間数百もの音楽クリップが国内で違法に制作され、海外の衛星チャンネルやインターネット上で発表されている。イラン当局は、こうした「地下活動」を行なう「未許可」の歌手やグループを特定し、大規模な捜索を行なうことで、毎年100以上の男女を含む歌手やグループ、ビデオクリップ制作者を逮捕している。
また、国内での衛星チャンネルの聴取は全面的に禁止されており、年に数回、違法衛星アンテナの一斉摘発が行なわれる。 【佐藤 彰】