住民監査請求はフリージャーナリストの西谷文和さんや「大阪市民ネットワーク」の藤永延代さんらが呼びかけたもので、府民約500人が請求人に名を連ねた。
11月14日には府庁で、監査委員に対して意見陳述会が行われている。
請求人を代表して陳述に立った西谷さんは、咲洲庁舎で撮影した映像を上映。壁がひび割れたり、天井パネルが崩落したビル内の様子や、地震でレストランが軒並み撤退したフロアなどを紹介した。3・11の揺れで咲洲庁舎の最上階の振幅は2.7メートルにも達した。
東海、東南海、南海地震が起きた場合、振幅は12メートルになる恐れがあるという。
「次に大地震が来たらどうなるか。壁に打ち付けられて死傷者が出ることも予想される。咲洲は防災拠点になるどころか陸の孤島になってしまう。きっぱり咲洲から撤退し、無駄な税金の支出をやめてほしい」。
藤永さんは引越し費用11億3000万円について詳述した。消耗品類は1億8000万円分。すべてが新品だという。
「高級なマホガニーの応接セットまであった。28万円の椅子12台336万円、別注のテーブル2台49万円、サイドテーブル6台75万円。電気ポットは一つ2万1000円もするのをネットで買っていた。ツケを残した本人は、責任取らんと出て行くとは、どないやねん。
専門家は耐震性の問題を強く指摘していた。本来なら耐震性や災害拠点としての有用性について十分な調査が行われるべき。税金を無駄に浪費することを市民として黙って見過ごすことは出来ない。違法が明確ならば橋下氏に全額弁償してもらいたい」と藤永さん。
この意見陳述会を受け、11月25日には府の関係部局による反論の陳述が行われた。
西谷さんによると、府側は購入費85億円の妥当性などを主張、マホガニーの応接セットも海外の要人を招くために必要などと反論したという。
ちなみにW選当選の夜、3時間超の会見をした維新コンビは、それぞれ咲洲庁舎をどうするのか問われ、こう発言している(読売11月29日朝刊)。
松井氏
「旧WTCビルは、維新は府で庁舎として使う議決に賛成した。マイナスとは考えていない。東日本大震災で長周期地震動の被害があったが、事務スペースとして使用できるのであればしっかり活用する」
橋下氏
「負の遺産とは考えていない。正の遺産。特区も3次審査に入っている。アジアの拠点になるように、松井知事にお願いしたい」
防災拠点としても機能しないどころか、府職員の生命すら危うくする無駄の象徴。監査請求に結論が出るのは12月16日。橋下維新の勢いが、その判断を鈍らせないことを願うばかりだ。
【栗原佳子(新聞うずみ火)】
「新聞うずみ火」:http://uzumibi.com/