アウンサンスーチー女史率いる国民民主連盟(NLD)はきょう18日、ヤンゴンの党本部で中央委員会会議を開き、政党として再登録するかどうかを決定する。
党内には、再登録すれば、8割の議席を獲得した1990年の総選挙結果を放棄することになるうえ、軍事政権が定めた非民主的な憲法を承認することになると反対の意見もある。
また、シャン諸民族民主連盟(SNLD)党首クントゥンウー氏ら政治囚が解放されないまま再登録することで、少数民族の支持を失う可能性を指摘する声もある。
内務省は6月下旬、解党処分を受けた後も活動を続けるNLDに対し「法的に違反している」と文書で警告した。それに対し、NLD書記長のアウンサンスーチー女史は、法的根拠を示し、NLDがまだ政党として合法的に存続していると反論した。その根拠にしたのが、憲法第409条「連邦議会は政党に関して必要な法を制定しなければならない」という規定だった。
解党処分の根拠となった政党登録法は、2010年3月に軍事政権が制定したもので、憲法第409条と矛盾しており、連邦議会による法律が制定されるまでは、NLDが最初に政党登録した政党登録法(1988年第4号)は有効であると主張した。
しかし、今月4日に「政党登録法を改正する法律(2011年連邦議会法律第11号)」が制定され、禁錮刑を受けている者を党員にすることを禁じる条項が削除された。連邦議会が政党関連の法律を制定したことで、NLDの合法性について法的根拠を示すことが難しくなった。
アウンサンスーチー女史は14日、解放1周年にあわせて開いた記者会見で、政党登録について回答を避けたが、法の支配の重要性を強調し、「NLDは政治組織である」と明言した。書記長のスーチー女史ら党幹部は政党として再登録する意向であることは一部メディアで報道されており、18日の党中央委員会会議で覆される可能性は低い。
NLDが政党として再登録した場合、その後の補欠選挙が焦点となる。
改正政党登録法では、「総選挙後に登録した政党が補欠選挙に出馬できなかった場合は、政党資格を失う」という規定が追加された。これによって、NLDは、再登録後、補欠選挙で3つ以上の選挙区に候補者を擁立できなかった場合は、政党資格を失うことになる。
補欠選挙の日程について、公式発表はまだないが、ミャンマーの週刊紙「ウィークリー・イレブン」は、連邦選挙管理委員会が11月上旬、各州・地方(旧管区)の選挙管理委員会に補欠選挙の準備を指示したと報じた。
補欠選挙がおこなわれるのは全部で48議席で、人民議会(下院)40議席、民族議会(上院)6議席、地方議会2議席が争われる。選挙区は、北部のカチン州から南部のタニンダーイ地方まで、10の州・地方に点在する。
NLDは、全国に候補者を擁立することで、選挙運動として合法的に地方遊説をおこなうことが可能となる。地方遊説中だったスーチー女史が襲われた2003年のディペーイン事件以降、地方支部は閉鎖され、党の活動は停滞した。低迷した党組織を全国規模で建て直す絶好の機会となるだろう。 【赤津陽治】