豆満江を挟んで中国から望む游仙の街。ボタ山に草が生えている。撮影時、ほとんど何の音も聞こえて来なかった。(2004年8月 石丸次郎撮影)
豆満江を挟んで中国から望む游仙の街。ボタ山に草が生えている。撮影時、ほとんど何の音も聞こえて来なかった。(2004年8月 石丸次郎撮影)

 

取材 キム・ドンチョル
監修 リ・サンボン(脱北者)
整理 石丸次郎

5  炭鉱街の暮らし
北朝鮮において炭鉱が他の工場企業所と異なるのは、まず、文字通りきつい、汚い、危険な「3K」職場だということ。しかし、北朝鮮の経済不振が深刻化して以来、この「3K」に見合う待遇を得られなくなった。そのため、炭鉱労働者は協同農場員と並ぶ不人気職業になり果てている。だが、石炭産業は国家の重要なエネルギー供給源であるため、稼働している炭鉱には、常に一定の労働者が必要だ。こんな事情のため、炭鉱では、労働者を辞めさせないという圧力が強く、また外部から常に労働者を送り込まなければならない。

直洞炭鉱の労働者は約七〇〇〇人。うち、坑内労働に従事するのは一五〇〇人ほどだろうとキム記者は見ている。以下は、炭坑夫という職業、炭鉱地区の暮らしについての石丸次郎とキム記者の一問一答である。

石丸:採炭工になるとずっと採炭だけするんですか?
キム:そうです。ずっとです。採炭工が一番きつくて危険なので誰もやりたがらない。権力にコネがあったりお金がある人は、賄賂を握らせて採炭工に配置されないようにします。あるいは、手を回して別の所に移ろうとします。だから、最も貧しい人、力のない人たちがずっと採炭工をしているわけですよ。

石丸:炭鉱労働者の月給はどれぐらいですか?
キム:いろいろです。しんどい坑内労働者などノルマがある職場は、達成すれば七〜 八〇〇〇ウォン、未達成だと坑外職場の一五〇〇〜二〇〇〇ウォンと同じか少しマシな程度です(一一年四月時点で一〇〇ウォン=約三円)。
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