◆被害があってもわからない現実
この12月には政令改正が行なわれ、クリアランス制度は本格実施に移される。東海原発の解体は2006年度から第2期工事に入り放射性ゴミの発生が増えるため、それにともなってクリアランス対象となる〝放射性〟ゴミも多くなる見通しだ。
原発ゴミの「リサイクル」も東海原発を皮切りに次々始まることになる。すでに稼働開始から30年前後の原発が20基ちかくある。やがて始まる廃炉ラッシュで相当量の〝放射性〟の原発ゴミが「リサイクル」されることになろう。そのとき何が起こるのか。

実際にクリアランス制度によって外部に出た原発ゴミから被曝し被害が起こっても、おそらくそれを知ることすらない。かりにガンや白血病になって、原発ゴミが「リサイクル」された自宅の壁から通常より高い放射線が検出されても、補償されることはあるまい。因果関係までわからないからである。なにしろJCO臨界事故でも周辺住民の健康被害はいっさい認められていないのが現状なのだ。

これまで被曝させられた労働者はどれほどいるのだろうか、そして、これから本格化する解体工事とそれにつづく「リサイクル」でいったいどれだけの人びとが被曝させられるのだろうか。東海村の原電PR施設の駐車場から東海原発の古びた外壁を眺めながら、しばらく考えていた。(了)
(初出『週刊金曜日』2005年11月25日号)

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