◆商売行為を徹底取締り
北朝鮮内部に住むアジアプレスの取材パートナーたちが、金正日総書記の死亡が明らかになった19日以降の国内の動きについて伝えてきている。
地方都市では、死亡公表翌日の20日より、金総書記追悼行事が本格化し、住民生活に大きな影響が出始めている。
両江道に住む取材協力者は22日
「一定規模以上の各機関、企業所、学校には金日成、金正日の革命業績を称える「研究室」が設置されているが、この「研究室」に金総書記の肖像画が掲げられ、「弔意式場」とされ、住民たちは花束を持って追悼に訪れるよう指示・動員されている。近所にこのような「研究室」がない場合は、金親子の「教示」を称える施設や、抗日闘争勝利を記念する施設に行くように指示されている。また、追悼に訪れる人が途切れてはならないとして、組を作って交代制で哀悼行列を組織している。冬季で花がなく、住民たちは紙で造花を作って花輪を捧げようとしているが、紙も不足してそれもままならない。すると幹部たちから『誠意がない』と叱責を受ける」
と電話で伝えてきた。
民衆生活にも影響が出始めている。すべてのジャンマダン(公設市場)が閉鎖され、街頭での商売行為も禁じられている。このため、食糧価格が上昇している。
「両江道の○○市の場合は、国営の『輸入品収売商店』でのみ中国産の米を売っているが、金正日死亡公表前は白米1キロ3000ウォンだったのが、21日は3800ウォンに上がった。食べるために米商売人に個人的に売ってくれと頼んでも、取締りを恐れてなかなか売ろうとしない。『輸入品収売商店』のない他地域では、白米が16000-17000ウォンまで上がったと聞いている。それでも摘発を恐れて売るのをしぶっているそうだ。米が出回らない深刻な状態になったため、当局は、22日から米だけは商売を許すという噂が流れているが、それでも、この大事に商売すると批判されるのを恐れて商売に出るのを控えようという雰囲気だ」
前出の取材協力者はこう述べた。米価は、11月から乱高下していたが、金総書記の死亡前は1キロが3000ウォン程度に下落していた。
北部の咸鏡北道茂山(ムサン)郡の取材協力者は、やはり22日の電話で食糧価格の高騰を伝えてきた。「(闇)価格は白米が4500か5000ウォン、トウモロコシは2400から2500ウォン。商売人たちは摘発を恐れて晩にこそこそ動いている。市場は(追悼期間機関が終わる)30日まで開かれないだろう」
(石丸次郎)