◆詳細な内容は不明 朝鮮中央通信が伝える
北朝鮮の朝鮮中央通信は9日、平壌発の記事で外国投資銀行法が修正・補充されたと伝えた。
外国投資銀行法とは、外国人投資家が北朝鮮国内に設立できる投資銀行の活動範囲と利益の保護を規定した法律で、1993年11月に採択された。その後、99年に修正・補充、2002年には修正が行われている。今回の修正・補充は10年ぶりとなる。
朝鮮中央通信によると、同法では「朝鮮の銀行と企業に有利な条件で貸し付けして得た利子収入に対しては営業税を免除すると規定されている」という。これは2002年の同法で規定(第28条)されていた「取引税の免除」に加え、営業税までも免除すると解釈することもできるが、詳細は不明だ。
2002年版の同法第2条によると、外国人が設立できる銀行には「合営銀行」「外国人銀行」「外国銀行の支店」があり、その内「外国人銀行」「外国銀行の支店」については『羅先(ラソン)経済貿易地帯』にのみ設立できるとしている。
また、第18条では「『合営銀行』と『外国銀行』は登録資本金として、朝鮮ウォン22億5千万ウォン以上に相当する転換性外貨で、一次払入れ資本金を登録資本金の50%以上所持しなければならない」とされている。
前述の通り、今回の修正・補充がどういった内容で、全5章32条の内どの程度の範囲に及ぶものなのかは、現段階では明らかになっていない。従来では羅先経済貿易地帯(現在では羅先特別市に格上げ)にしか設立を許されなかった外国人銀行を、他の地域でも設立できるようにする一方、国内外の経済変化に合わせて登録資本金の内容を一部変更した可能性もある。
経済インフラが崩壊状態にある北朝鮮では、2010年1月に投資誘致窓口である「大豊(テプン)国際投資グループ」を設立、さらに同3月には同グループと連携を図る「国家開発銀行」を設立し積極的に投資誘致を図ってきた。
現在北朝鮮では10年7月に設立された「合営投資委員会」が外資誘致の全権を握っているとされる。同委員会は中国との間に、鴨緑江の中洲である「黄金坪」の共同開発計画を2011年12月に締結している。だが政治情勢の不安定感に加え、法の執行が徹底されないとの懸念から、企業の財産保護に不安を残す北朝鮮への海外からの投資は低調なのが実情だ。
この度の修正・補充が、金正日総書記生前から決められていたのかは不明だ。いずれにせよ、今後明らかになる同法の内容が、金正恩氏への権力後継が進む北朝鮮の今後の対外開放を計るひとつの指標になるものと思われる。
(李鎮洙)