◆住民への過酷な扱いで悪評  撲殺との情報 
北朝鮮の情報機関である国家安全保衛部の要員が殺される事件が発生したと、1月31日アジアプレスの北朝鮮内部の取材協力者が電話で伝えてきた。

中国から臨む茂山郡の中心部。手前の川は国境の川・豆満江。2010年7月 李鎮洙撮影 (アジアプレス)

事件があったとされるのは、中国との国境都市の咸鏡北道茂山(ムサン)郡。この取材協力者によると、31日朝、茂山郡の保衛部の拘留施設警備担当者の男性が死体で発見されたという。死体には殴られた痕跡があり、拘留施設周辺は朝から保衛部の職員たちが行き交い、捜査が始まっているという。

この拘留施設は茂山郡の中心に位置するため、多くの住民が事件を知ることになったという。
殺された保衛部の職員は、拘束した住民に対して過酷な扱いをする人物として、普段から評判がよくなかったと、協力者は伝える。
しかし、この保衛部要員が殺害されたのは、職務に関して住民から恨みを買ってのことなのか、情報機関要員を標的とした政治的な目的によるものなのか、あるいは個人的なトラブルが原因なのか、現段階でははっきりしたことはわかっていない。

茂山郡は中国との国境都市であるため、密輸や脱北、外部情報流入の拠点となっている。また中国で逮捕された脱北者が数多く強制送還されてくることもあり、保衛部が担当する案件が多い地区である。
アジアプレスでは、中国の携帯電話を北朝鮮内の取材パートナーに送り、情報を提供してもらっている。
【石丸次郎】

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