望むと望まざるとにかかわらず、朝鮮が既に開放へと向かって動いていることは厳然たる事実である。社会の質的な変化は、社会発展の客観的な法則によるものであって人間の意志や政権の欲望だけで調節できるものではない。
三代世襲による後継が、開放の衝撃を正面から受け止めることができるとは考えにくい。
筆者としては、開放による衝撃が、朝鮮が国際社会に正常国家として復帰できる肯定的な機会になることを望むばかりである。
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「朝鮮にも鄧小平が出てこなければならない」という声が世の中で高まっている。
言い換えると、朝鮮でも現在の政治を否定的に捉え、少しずつ国家指導者の責任に焦点を当てようという傾向が出てきているということだ。
金正日の権威が落ちていることから、国家首班としての寿命をあれこれ予測する者もいるほどだ。少なくとも言えるのは、金正日の時代は(彼の年齢を考えても)、今後一○年の間に幕を下ろすことになる可能性が高いということだ。
金正日の時代が歴史的にどのように評価されるのかは、つとに後継者の賢明さにかかっていると言っても過言ではない。この点で、毛沢東と鄧小平という二人の現代中国の巨人は、朝鮮の将来に大きな教訓を与えてくれている。
(おわり)
※「鄧小平(とう・しょうへい)」の「鄧」の字が、一部コンピュータ環境で正しく表示されない場合があります。「鄧」は「登」の右に「こざとへん」が付いた文字です。 <<< 第6回