Q:北朝鮮の庶民経済は依然として厳しく、庶民の生活は限界に達している感があります。こうした中、故金日成主席の誕生日である4月15日に、北朝鮮政府が何かしらの政策措置を下すのではないかいう見方がありますが、どう思いますか?
A:今年は金日成誕生100周年、強盛大国を宣言する年であると宣伝してきたので、何の変化もないまま、4月が過ぎ去るとなると、庶民の失望はとても大きなものとなるでしょう。ですので、金正日の誕生日(2月16日)か金日成の誕生日を契機に、ある程度の(生活向上のための)措置が下されるのではないでしょうか。配給を大幅に増やしたり、というような。
金永煥氏は、金正恩体制がいかに金総書記の統治方法を踏襲できるかが、今後のカギを握ると語った。次回は韓国社会が北朝鮮をどのように見ているのかについて聞く。(つづく)
【人物紹介】
金永煥(キム・ヨンファン)。1963年生まれ。ソウル大学法学部卒業。80年代のソウル大学在学当時、「主体(チュチェ)思想派」と呼ばれる学生運動組織を牽引したリーダーの一人。
カン・チョルというペンネーム用い主体思想を解説した「カン・チョル書信」は多くの学生に読まれた。「主体思想派」とは北朝鮮の「主体思想」を綱領とし、当時の韓国の全斗煥政権を打倒、民族解放を成し遂げようとする運動を展開した、韓国の民主化運動の一大勢力。
91年には秘密裏に平壌を訪問し、金日成主席(当時)に接見するほどに北朝鮮政府から信頼を得ていた。その後次第に北朝鮮の政治体制に疑問を覚え、90年代半ばに転向、北朝鮮批判を始める。
その後現在まで一貫して北朝鮮の民主化のために旺盛な文筆活動を続けている。「デイリーNK」論説委員、北朝鮮民主化ネットワーク運営委員、季刊「時代精神」編集委員。金総書記死去直後に発売された最新刊「ポスト金正日」(時代精神刊)は、韓国で多くの関心を集めている。