ミャンマー最大都市ヤンゴン。訪れるのは3年ぶりだ。訪れてまず目についた変化は、ヤンゴンのホテル料金が高騰していることだった。今季、ミャンマーを訪れる外国人が激増し、需要と供給のバランスが逆転。ホテル料金は軒並み2、3倍に跳ね上がっている。
物価も高く感じる。現在の為替レートは、1ドル=815チャット。1,000チャット=約100円だ。普通の飲食店で食べると、10,000チャット(約1,000円)くらいは軽くかかる。以前と比べると、高く感じる。
また、巨大なスーパーやショッピングセンター、高級レストランがヤンゴン市内各所に見かける。しかし、庶民の購買力が上がっているようには見えない。
「今のミャンマーは、置くところがない人と食べるものがない人に分かれている」。日本の寿司屋で働いた経験を生かして、ヤンゴン市内で寿司屋を経営する男性(40歳)は、そう話した。金を置く場所に困るほど裕福な階層と食べることもできない階層に分かれ、貧富の差が広がっていると指摘した。
彼に最近の変化は何かと尋ねると、報道の自由が広がったことを挙げた。確かに週刊紙や雑誌には、アウンサンスーチー女史の遊説についての詳細なルポや解放された著名な政治囚のインタビューなど、以前は決して載ることのなかった記事が多く掲載されている。さまざまな週刊紙が情報の独自性やスピードを競い合うように、興味深い記事を掲載するようになっている。
先週19日と20日にヤンゴン市内のホテルで開催されたユネスコと情報省主催の会議には、ビルマ民主の声(DVB)やイラワジなどの国外に拠点を置いて報道してきた反政府系メディアの代表も出席。情報省高官は、近く検閲を廃止すると同会議で述べた。
1年前の国営新聞には、DVBなどの報道機関を非難するスローガンが毎日掲載されていたことを考えると劇的な変化だ。
その他の変化を尋ねると、男性は「特にない」と答えた。「役所に行けば、相変わらず当たり前のように賄賂を要求される。賄賂を払わなければ、一番後回しにされてしまうので、払わざるをえない。そうしたところは全く変わっていない」。
男性は、半年後を目標に、姉が住む豪州へ移住する準備を進めている。「ミャンマーは教育レベルが低い。祖国を離れるのは寂しいが、子供の将来を考えて、向こうに行くことにした」と移住の理由を説明した。
こちらに来る前、「ミャンマーは変わった」という声を訪緬した日本人からよく耳にしていた。しかし、際立った"変化"を、私はなかなか見つけることができないでいる。"変化"を探して、もう少しヤンゴンをたずね歩こうと思う。【ヤンゴン=赤津陽治】