◆国民を困窮させ人道支援要求しながらの無駄使い
朝鮮中央通信は12日、平壌市の綾羅(ルンラ)島に建設中のイルカショー施設の全景写真を公開し、完成間近であることをアピールした。しかし、国際社会に人道支援を要求し、国民の多くが生活苦に喘いでいる中での必要性の乏しいイルカショー施設の建設は、まったくの「無駄遣い」「政治的浪費」に他ならない。
このイルカショー施設は、建築面積が5900余平方メートルで1000余席の観覧席が備えられ、設計者は故金正日氏だと、昨年11月に同通信は報じている。
4月15日の故金日成主席の生誕100年を祝う行事に間に合わせるよう工事が急ピッチで進められてきたことから、平壌都市再開発事業の一環として、世襲後継者・金正恩氏の権威付け、偶像化が建設の目的なのは明らかだろう。
イルカは中国から輸入されると見られる他、「南浦―平壌海水パイプラインに沿って流れ込んだ海水を貯える海水予備タンク、自動水循環ろ過システムをはじめ、イルカの生育環境に必要な対策も立てられる」(同通信12年11月16日)というよう設備維持費用は莫大な額になるろう。
来月の故金日成主席生誕100年を祝う大かがりなイベントの前後に、金正恩氏は党や国家の最高ポストに就き、「金正恩体制」の正式発足と「強盛国家建設」が宣言されるものと見られる。
【石丸次郎】