◆強盛国家建設のシンボル 崩壊の恐れも

(石丸次郎)

20階を超える高層アパートの建設現場。各階の窓枠が位置も大きさもまちまちで歪んでいるのがよくわかる。2011年8月 平壌市大同江区域にて ク・グァンホ撮影
20階を超える高層アパートの建設現場。各階の窓枠が位置も大きさもまちまちで歪んでいるのがよくわかる。2011年8月 平壌市大同江区域にて ク・グァンホ撮影

 

4月15日に大がかりな金日成生誕100周年記念行事を準備している北朝鮮では、「強盛国家」建設を誇示するために、昨年来、平壌の都市再開発事業に拍車をかけて来た。その象徴が住宅10万戸建設事業である。

高層アパートを短期間に大量に建設することを生前の金正日氏が指示。昨年春頃から工事が本格化し、現在、外見は完工間近なようである。しかし、その建設作業の実態は、ずさんな突貫工事あることが映像で明らかになった。
北朝鮮内部情報を伝える雑誌「リムジンガン」記者のク・グァンホ氏は、昨年8月に平壌市中心部の大同江区域のアパート建設現場に潜入して工事の実態を撮影した。

映像を見るとブロックを積み上げる北朝鮮独特の工法で建設される高層アパートが、窓枠の大きさや位置が一様でなくがたがただったり、各階の高さがまちまちであることが一目瞭然だ。

平壌に住んでいた経験のある在日脱北者のリ・サンボンさんは
「平壌のアパートは遠目には立派に見えるが、工事がでたらめな上にセメントなどの資材の質が悪く、時々崩壊事故が発生する。98年には統一通りに建てたばかりの八階建てアパートが崩壊して60数人が圧死する事故があった」
と語った。
(石丸次郎)

【YouTube動画 北朝鮮内部】 これが平壌の手抜き工事の現場映像だ 窓枠ガタガタ、プロック手積みの高層アパート
【フォーカス】[映像取材ルポ]金正恩氏のための平壌再開発その表と裏を撮る 1-5
平壌アパート崩壊は不正など構造的原因

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