摩天楼がひしめき合うという印象のあるニューヨークだが、意外と遊びのスペースが多い。格子状に走るマンハッタンの通りを歩いていると、ぽっかりと空いたスペースに突然出くわすこともある。週末になるとそんな空間で蚤の市(フレアマーケット)が開かれ、人々の関心を引く。

3月10日ニューヨークのマンハッタンにて 撮影 宮崎紀秀 (一部デジタル加工してあります)

 

蚤の市の常ではあるが、この日も、果たしてどれほどの価値があるのか分からない雑多なものが並んだ。黄ばんだ中国製陶器、古びた額に収まった油絵や寂しげな表情をした西洋人形など。
とは言え、突然現れた異空間に、普段は忙しげなニューヨーカーたちも、しばし足を止める。

この人形はどこから来てどこへ行くのだろうか
3月10日ニューヨークのマンハッタンにて 撮影 宮崎紀秀 (一部デジタル加工してあります)

 

多くのアジアの都市で見られるような、店主のしきりの売り込みは、無い。正直言って、誰が店主かさえよく分からない。売る側も売られる側もゆったりと流れる時間をただ楽しむというのが、ここでは正しい週末の過ごし方のようである。
【ニューヨーク=宮崎紀秀】
※ニューヨーク在住のジャーナリスト宮崎紀秀氏の写真エッセイを連載していきます。

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