この街では店の入れ替わりがやけに激しい。
人気店がぎっしり詰っているかのようなマンハッタンの中心部でさえも、突如、空き店舗が出現する。
つい先日まで賑わっていた場所に、「店舗貸します」の紙が張られ、夜逃げの後のようながらんとした空間だけが残されていることも珍しくはない。
客がいないわけではない。ただ、テナント料が高すぎるといわれている。
景気は悪いとはいえ、ここはニューヨーク。すぐに新しい店が生まれる。そんな移り変わりに慣れっこになっている地元の人は、華やかな町並みには似合わぬ荒んだ空間に出くわしても、特に心を乱される風もなく颯爽と歩いている。
【ニューヨーク=宮崎紀秀】