マンハッタン、しかも華やかな通りの一つである5番街に、行方不明者の情報を求める張り紙があった。摩天楼には不釣合いな光景に、思わず息を呑んだ。
不明者は15歳の少年。どこかのビーチで撮ったのであろう、カメラをまっすぐ見据えた精悍な青年が写っている。
少年は5月25日にニューヨーク州内のホワイトプレインズという都市で目撃されたのを最後に、行方が分からなくなったという。少年の背丈や失踪時の服装なども記されている。
無事の帰宅につながるような情報があれば、謝礼を支払うという。少年の家族は、必死の思いで、このように情報を求めることを決断したのであろう。家族の悲しみとすがるような思いが、痛いほど伝わる。
アメリカ司法当局の統計によれば、全米で毎年60数万から90数万人、2010年には69万2千944人の行方不明者が新たに登録されている。
【ニューヨーク=宮崎紀秀】