「うずみ火」が大阪府堺市の委託を受けて制作していたDVDとビデオ「堺大空襲」(全4巻)が完成した。67年前の堺大空襲で炎の中を逃げ惑った人、かけがえのない家族を奪われた人、家財産を焼失して苦難の戦後を生き抜いた人など、37人が語り継ぐ証言映像。堺市立平和と人権資料館から無料で貸し出され、学校や地域社会での平和学習に役立ててもらうことになっている。
矢野宏(新聞うずみ火)
堺市は、太平洋戦争末期の1945年3月から8月にかけて5回の空襲に見舞われた。
なかでも7月10日未明からの第4次空襲は、米軍による無差別空爆で当時の市街地の6割以上が焼失、3000人もの市民が死傷するという甚大な被害をもたらした。100機を超える米軍の爆撃機B29が襲来したことから、「堺大空襲」とも「第6次大阪大空襲」とも呼ばれている。
あの惨劇から67年が過ぎ、戦争を知らない世代が4分の3を占めるようになった。戦争そのものが歴史の中のひとコマになりつつある中で、空襲を体験した人たちの証言を映像で残す「緊急雇用創出基金事業『平和情報収集・発信事業』」を堺市から委託された。
2010年度には大阪府からDVDとビデオ「大阪大空襲」(全5巻)の制作を委託されており、これが2回目。
風化しつつある堺大空襲の体験者の「記憶」を「記録」に残すため、うずみ火では昨年11月から空襲体験者のリストアップを開始。取材依頼、インタビュー、撮影、編集など、作業は今年の5月中旬まで続いた。
完成したDVDのタイトルは「堺大空襲」。全4巻に、37人の空襲被災者の体験やメッセージを収めた。
(続く)