イラン国防大学が今年度の博士課程に、サイバー空間での安全保障に関わる専攻を設置したことを明らかにした。国営イルナー通信が29日に報じた。
イラン国防大学のハサンベイギー学長は、28日に実施された同大学の博士課程試験で、新たに仮想空間安全保障と文化戦略運営の二つの専攻分野で学生の受け入れを開始したと発表した。
同学長は、「イランは文化に関わる戦略的運営者の育成を必要としており、このたび文化革命最高評議会や文化イスラム指導省、その他の文化に関わる国家機関の要請に基づき、新たな専攻科目を設けた」と語った。
1979年のイスラム革命後、イラン政府はメディアを介した西洋文化の流入に警戒してきた。現在は、市民による衛星放送の受信を取締り、インターネットにも厳しい検閲網を敷く。特に2009年の大統領選挙後の騒乱では、海外メディアとソーシャルネットワークが市民を扇動したとして、近年、サイバー空間における「安全保障」に取り組んできた。
同学長は、新たな専攻設置の目的を、「仮想空間の安全保障分野での管理者を育成することで、この分野での破壊活動に対抗する解決策を提示し、国家の安全保障に対する脅威を未然に防ぐこと」としている。
イラン国防大学では、来年度には、コンピューターウイルスなどサイバー攻撃への対処を目的としたサイバー防衛専攻の設置も予定している。
(佐藤 彰)
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