◆絵本で体験紹介
完成したDVDは全4巻。1巻は26人の証言を積み上げる形で堺大空襲の概要(38分28秒)を伝えている。
2巻と3巻は「疎開編」(25分26秒)と「学徒動員編」(27分30秒)。4巻では堺大空襲にまつわる2冊の絵本を取り上げた。
空襲で母と弟を失った浜野絹子さん(73)の体験を、作家の早乙女勝元さんが絵本にした『おかあちゃんごめんね』と、空襲で幼なじみを亡くした絵本作家の田島征彦さん(72)の作品『ななしのごんべさん』
田島さんは堺大空襲の前日、大阪・泉佐野市へ疎開した。空襲の翌日、父親が堺へ戻ると自宅は全焼し、隣に住んでいた3歳の女の子も亡くなっていた。その事実を知った田島さんは、「狂おしいほど腹が立った」という。次の世代に伝えねばならないと思い続け、完成まで11年をかけた。
田島さんは、「罪のない人たちが、小さい子どもたちが空襲のために死んでるんです。なくても良かったことなんですよね。戦争のこと、平和のことを、若いお母さんにも若い人たちにも分かってもらわないといけません」と語り、浜野さんも、「世の中というのは10人いたら10人、100人いたら100人、顔色や考え方が違うんです。それを特定の方向に束ねるというのは絶対したらいけません。一人ひとりの違いを認めるということが大事だと思います」というメッセージを送ってくれた。
DVD「堺大空襲」(全4巻)は、堺市立平和と人権資料館(フェニックスミュージアム/072-270-8150)と、堺市人権推進課(072-228-7420)が、無料で貸し出している。