特に「抗日女将軍」として崇められてきた金正日氏の生母、金正淑(キム・ジョンスク)の抗日パルチザン経歴と比べ、高ヨンヒ氏は金正日氏との同居直前まで「踊り子」に過ぎなかったという点から、「格」が落ちると評価されてきた。
ところが次男の金正恩氏が金正日氏の後継者として正式に確定するに伴い、いずれは高ヨンヒ氏に対する偶像化が始まるとの予想が有力視されていた。北朝鮮が「白頭血統」理論を掲げ三代世襲の正当性を強調する状況で、金正恩氏の生母に対する言及は避けられないからである。
実際に今年の金正恩氏の誕生日(1月8日)に朝鮮中央TVが放映した記録映画、「白頭の先軍革命偉業を継承されて」では、金正恩氏が自分の生母である高ヨンヒ氏に言及したとの内容が紹介されたりもした。
その映画では「いつだったか2月16日(金正日氏の誕生日)にも現地指導から戻ってこない将軍様を母親(高ヨンヒ)と一緒に夜通し待ち続けたこともあった」という部分があった。
消息筋は「問題の映画を見たといって必ずしも処罰されるわけではない。ただし誰から映画を受け取り、誰に渡したのかを徹底的に解明しなければならず、今後映画を広めたり噂を流したりしないと誓約書を書かなければならない」と話した。
高ヨンヒ氏関連の映画制作と回収騒動は、北朝鮮が無理に推し進めている三代世襲理論の弱みを見せ付けている。父系血統と母系血統の極端な異質性が、今後、金正恩偶像化作業において最大の障害になるとの推測も出ている。
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