現在、「脱北者」らは汚らわしい南朝鮮社会を呪い、自身を恨みながら共和国に帰ることを切望していると主張した。
また、かいらい情報院の連中の監視をまいて共和国の懐に再び抱かれた所感について語った。
母なる祖国は、足を踏み誤って千尋の奈落に転がり落ちて子息に恥辱を残し、無縁仏になりかねなかったわたしに生命水を注いでくれた。
高鳴る胸をかろうじて静めながら飛行機のタラップから降りるわたしを関係者たちが喜んで迎えてくれた時、あまりにもびっくりしてぼう然とした。
祖国という二つの文字がこんなに懐かしくて大いなるものだな、わたしはもう死んでも恨むことがない。
敬愛する金正恩将軍は、わたしの罪多き過去を少しもとがめず、温かい大きな懐に抱いてくれたし、大海のような愛と恩情を施してくれた。
金正恩将軍は、罪人同様のわたしを金元均平壌音楽大学の教壇に立っている息子と共に平壌で暮らすようにしてくれた。
わたしは、愛国者でもなく、国に役に立つ大きなことをした英雄でもない。
他人が困苦欠乏に耐えながら強盛国家の建設に血と汗をささげる時に、わたし一人楽に暮らすとして母なる祖国を捨てて去った忘恩背徳の罪人である。
天罰を受けてしかるべきこのわたしをとがめず、寛容に抱いて幸福の絶頂に立たせてくれたのだから、この天のような愛と恩情を死ぬとしてもいかに忘れられようか。
われわれの敬愛する金正恩将軍のような方は、この世にいない。
金日成大元帥と金正日大元帥そっくりの敬愛する金正恩将軍がいるので、わたしはこの世に生まれ変わった。
朴さんは、全国の大家庭の慈愛深い父である金正恩将軍に自身だけでなく、次代も代をついで衷情を尽くしていくという燃えるような一念をこめて息子、嫁と共に歌謡「忘れえぬわたしの道」を切々と歌った。
(石丸次郎)