食糧配給状況と電気事情

Q:最近の平壌の食糧配給状況を教えてください。

ク:去年(一〇年)の一二月から平壌市全域で配給はストップしてしまい、今年(一一年)に入って二月一六日(金正日誕生日)に八日分、四月一五日に 五日分が出ただけでした。それが、(金正日総書記の)《方針》が出たとかで、平壌市民には八月下旬には白米、九月には白米とトウモロコシが半々の配給が出 ました。何でも、軍用の備蓄食糧の「二号倉庫」を開けて配給したそうです。糧政部(食糧配給を担当する部署)に指示があったと聞きました。

Q:平壌の人々の反応はどうでしたか?

ク:とりあえずほっとしてますよ。もともと配給だけではとても足りず、商売をやってコメを毎日買わないと生きていけないのではありますが。でも先のことはわかりません

Q:平壌市も区域や地位によって配給の量や質が違うんですか?

ク:平壌市全体で、配給の中身はほとんど同じだと思います。でも名節(祝日のこと、金父子の誕生日など)の時に配られる《特別供給》の中身は区域ごとに違うんです。(幹部が多い)中区域なんかはたくさん出るそうです。周辺区域では何もなかったり酒が一本だけ出る程度です。

Q:電気事情はどうですか?

ク:春先までは本当に酷かった。平均すると一日に二〜三時間、一秒も来ない日もたくさんありましたよ。夏からは水力発電が動いているせいかよく来て いますね。一日一五時間ぐらいは来てる。でも電圧が弱くて変圧器がなくては電気製品は使えません。中心部以外は街灯もなく外に出れば真っ暗です。

平壌市の縮小

Q:昨年、中和(チュンファ)郡や祥原(サンウォン)郡などが平壌市から切り離されて黄海北道に編入されました。その理由は何だと思いますか? (注1)

ク:平壌市の規模が大きすぎて食糧を供給できないから外してしまったと言われています。

Q:政府にいよいよ金がなくなって「大平壌」を維持できなくなって切り捨てたんじゃないですか?

ク:そういうことでしょう。世界的に見れば、首都というのは人口が多い方が良いのかもしれないけれど、人民を食べさせられないんですよ、今や。それ だけの国の力がないということでしょう。皆そう受け取ってます。国も個人の家庭と同じじゃないですか、私の住む地区でも「稼ぐ人間を一人増やすより、口を 一つ減らせ」と言い合っています。要するに(平壌市の縮小は)口減らしと同じですよ。

Q:突然切り捨てられた地区の人たちはどんな様子だったんでしょうか?

ク:当時多くの工場企業所がストップしたそうです。祥原郡には大きなセメント工場があるんですが、平壌から切り離されると聞いて、労働者がもう仕事はしないと座り込んだそうです。
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