しかしこのような措置は既に理論的限界を見せている。北朝鮮当局が全ての協同農場と主要工場企業所の初期生産を保障するだけの財源を確保しているとは断言できない。また国家買収を実施する上で、莫大な初期費用が必要となってくる。
国家買収を市場価格に基づき行うとなると、配給時にも市場価格を反映させなければならなくなるため、不必要に穀物価格のインフレを招くとの指摘もできる。

都市労働者の賃金などが、市場の物価に対応されないのであれば、都市住民が食糧を購入することはさらに困難となるだろう。万が一、当局が食糧を市場価格よりも安く販売するとなれば、すさまじい財政赤字は必須である。

これらの流れにより、長期的には物価上昇が発生する可能性も指摘される。クォン副院長は「市場依存度が高まるのを防ぐため『買収価格現実化』を実施するものと思われるが、国が食糧問題を全て解決することはできないため、闇市場が再び活性化し、インフレが発生しうる」と予測した。

官僚らの不祥事が蔓延している中、国の安定的な買収価格管理が容易でないことも問題である。買収価格を市場価格に合わせようとしても、市場価格よりも高く設定することは出来ない。そのため、生産責任者が中間で収穫物を横流しし、市場で売るという現象が頻発するものと懸念される。
クォン副院長は「物資も足りず官僚の不正が蔓延した状態で、このような類の農業改革措置が正常に機能する可能性は低い。市場に任せるならともかく、成果を収めるのは難しいだろう」と展望を語った。

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