「北朝鮮当局も間抜けではない。今は対策を立てた機械だけを出荷している。つまり、新しい端末は、電話機としてしか使えなくなったわけだ。これらの措置は昨年10月の『方針』を受けてのものだ」とキム記者は語る。
『方針』とは故金正日総書記直々の指示を指す。急増する携帯電話利用によって、情報流通が一部で野放しのような状態になり、統制管理が困難になったことに当局が強い危機感を持っていたことがうかがわれる。生前の金正日氏によって指示された携帯電話に対する統制は、金正恩体制になった現在、強力に推進されている。
一方で、従前の機能がそのまま使える「1912」の端末は、価格が上昇著しいと、キム記者は伝えている。本来は230~300ドル前後だったものが、現在は1000ドルほどする。
新規に携帯電話購入を考える人の大部分は、「1912」端末は機能が揃っていてもあまりに高価なため、200ドル程度の「1913」端末を購入するという。
一方、キム記者は「『1912』の番号と機械をヤミで売って儲ける「コリョリンク」の職員も出てきている」とも語る。当局による統制強化は一筋縄ではいかないようである。
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