2008年12月、阪急三国駅で電車に引きずられ、一時は意識不明の重体になった盲目の落語家、笑福亭伯鶴さん(55)が6月10日、3年半ぶりに高座復帰を果たした。
(矢野宏/新聞うずみ火)
会場のクレオ大阪西には開場前からファンが押し寄せ、400人収容の大ホールは満席に。この日は伯鶴さんを支えようと、桂文福さんや露の新治さん、笑福亭瓶太さん、趙博さんがゲスト出演。伯鶴さんはトリで、差別語をテーマにした創作落語「言葉の相談室」を披露した。
伯鶴さんが高座復帰を意識したのは昨年秋。落語作家のさとう裕さんが「大喜利でもやりませんか」と誘ったところ、「どうせなら落語をやりまっせ」。さとうさんら伯鶴さんの友人たちが「どや!伯鶴の会実行委員会」を結成。高座復帰へ準備を進めてきた。
ただ、記憶力の低下などの後遺症がある。もし高座で話を忘れたら落語家生命を絶たれることにならないだろうか。
その心配は杞憂に終わった。一度も噛むことなく、笑いを届けた伯鶴さん。会場から温かい拍手が送られた。