◆互いの心の傷に
ヤン:で、オッパ、ほっとした顔したんですよ、私が断った時。あの映画のシーンはね、私が断った時のセリフそのまま使ってるんです。「オッパの上の人に、僕の妹は僕らの敵ですって言うといて」って。その後でね、「(スパイを頼む相手の)ミスキャストやなあ、キャスティングめっちゃ間違うてるやん。センスないなあ。それぐらい見抜きいや、そっちの人も」って言ったんですよ、私。
石丸:さすがヤンさんだ。
ヤン:「この女だけは気をつけなあかんくらいに見といてもらわな困るわ」くらいに言うといたんですよ、私。そしたらオッパ、クスッとふき出して、「自分の意見はっきり言って、カッコええやんけ」って言ったんですよ。そして「分かった」って。私は「すぐ忘れるから今の話。アボジ(お父さん)、オモニ(お母さん)にも言わへんし」って言って。でも、その時、絶対に今の会話を忘れられないだろうな、すごい傷になるだろうなって思いました。その後やっぱりね、末のオッパと私、関係変わってますね。やっぱりよそよそしくなってしまいました。それはね、断ったからとか、あんな話したからじゃなくて、やっぱり傷付けた、お互いが傷ついた。相手よりも自分を優先して、オッパはその話したし、私は断ったっていうのがどっかにあるんだと思います。
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※8/4から封切りされたヤン・ヨンヒ監督作品「かぞくのくに」の上映情報です。
http://kazokunokuni.com/theaters/index.php
「北朝鮮と私、私の家族」 ヤン・ヨンヒ監督インタビュー 一覧