マンハッタンのマンハッタンらしさを演出しているのが、ガラスである。
路面レベルに、ガラス張りの商店や飲食店が、実に多いのである。
時に、大きなガラスは光を反射し、まるで万華鏡のように街の喧騒を映す。鮮やかな装いの人が現れれば、反射した色彩で街の華やかさが増幅するし、小走りに急ぐ人が映れば、せわしなさも2倍に見える。
このニューヨークという街では、人がひっきりなしに動き、同じ光景は一刻たりとも留まってはいない。人も、流行も、価値観も、どんどんと入れ替わっていく。まるで街そのものが万華鏡なのである。
そんな街だからこそ、くるくる変わる万華鏡のような光景に、時を忘れて見入ってしまうのである。
【ニューヨーク=宮崎紀秀】