街が壊される。
北京を歩けば、壊されている街に、否応無く出くわす。
ぽっかり空いた更地には、共産党のスローガンが登場する。
下町風情に溢れていたであろう一画は、
共産党の指導の名の下に破壊され、
おそらく大きなビルや新しい地下鉄の駅に生まれ変わるのだろう。
中国政府は、それを「経済成長」と呼び、庶民はそれを「発展」と信じてきた。
しかし、今では、多くの人々が、「経済成長」とは、収入よりも速い速度で物価を上げ、「発展」とは、豊かさよりも格差を生むものであると思い始めている。
時は、5年に1度の共産党大会の開会期間。
新しい党の指導部が誕生したその時、
中国の国旗・五星紅旗が、壊された建物の前で強い風にあおられていた。
【宮崎紀秀】