マリキ首相は昨年7月、直属の部隊による作戦、ディジレオペレーション(チグリス川作戦)をスンニ派武装勢力が活発に活動するキルクーク南部や隣のディアラ県、セラハディン県で敢行した。現在、武装勢力掃討作戦が目的とされるが、強力な権限が付与され、司法手続きもあいまいで、拷問も横行するという。スンニ派が多くを占める地域の住民の反発は大きい。
修理工のオスマンさんは、「サダムフセインはいなくなったが、他のサダムがいくつも現れた。アメリカはどこへ行ったのか。誰も私たちを助けてくれない」と訴える。
「いつになったら平和で安心できる街になるのでしょうか。民族がなかよく暮らすことはもうできないのでしょうか...」。そう語りかけるオスマンさんに、私は答えることができなかった。
逃げ場のない住民は、この恐怖と不安のなかでいまも暮らしている。
【キルクーク 玉本英子】
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