◆93年、初めて接した「準戦時状態」
問:ハナさんが北朝鮮にいた当時も、国内が最近のような緊張状態に包まれたことがありますか?
リ:93年のことだったと思います。「準戦時状態」が宣布されるのをTVで見ました。次の日からは人民班ごとに講演会が多く開かれ、(関連行事への)動員も頻繁に行われました。父も「労農赤衛隊(労働者農民らから構成された民間武力隊)」の訓練に、家にある木銃と軍用リュックを背負ってよく出かけていきました。
夜通し訓練し、朝になって帰宅することもありましたね。サイレンが鳴ると、電気を消して、窓を布団で覆った記憶があります。
問:当時、ハナさんはどんな訓練をしましたか?
リ:私はまだ幼かったので、訓練に参加することはありませんでしたが、学校でコンクールが行われました。「米帝侵略者をやっつけよう」というテーマで絵を描いたり、「将軍様に捧げる決意」などの文章を書いたりしました。北朝鮮にはキム・グムスンという少女抗日パルチザンの英雄がいるのですが、その子のように、「戦争になったら私も何でもやってやるぞ」いう覚悟を固めるのです。
私も「幼いからとじっとしているのではなく、将軍様と祖国のために闘う」という決意を発表しました。成長するにつれ、これも一つの「イベント」に過ぎないと思うようになり熱意は薄れていきましたけれど、当時は本当に一生懸命でした。(笑)
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