◆90年代 軍入隊の友人が栄養失調に
昨年12月に長距離「ロケット」を発射してから今日まで、北朝鮮は国際社会を緊張させ続けている。このような状況を、日本に暮らしている脱北者のリ・ハナさんはどう捉え、何を感じているのか。(取材・整理 南正学)
(承前)
問:北朝鮮で暮らしていたとき、戦争の危機を感じたのが1993年だと言いましたが、それから20年が過ぎたいま、北朝鮮国内の雰囲気はどうだろうと思いますか。
リ:1994年に金日成が死亡したあと、「苦難の行軍」のときは、戦争の危機云々よりも目の前の生活が大変でした。
そして、中国からモノが入ってくるようになってから、裕福な人はさらに裕福になり、貧しい人はさらに貧しくなって格差が広がってしまいました。なので、貧しい人たちは、戦争でも起きて何かが変わってほしいと変化を望み、裕福な人たちは戦争を敬遠する雰囲気がありました。
今はそのときよりもさらに貧富の格差が広がっていると思うので、そのような雰囲気はもっと強いのではないかと思います。
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