◆対外的に緊張維持の一方で内部は平常に
ミサイル発射準備で周辺国との緊張を高めている金正恩体制が、国内の一般部隊には戦闘訓練を中断させて戦時勤務態勢を緩め、農作業に従事させていることがわかった。アジアプレスの北朝鮮内部の取材協力者が10日電話で伝えてきた。
北部地域に住む行政職の取材協力者によると、
「哨所(詰め所)の兵士も一般部隊の軍人たちも、農作業準備のために部隊の所有する畑(副業地と呼ばれる)にテントを張りに行っている。農作業をちゃんとやらないと秋になって収穫できなくなるからだ。依然、栄養失調状態の兵士が多い。もう戦争訓練もやっていないし、市場も平常どおり運営されている」
と述べた。
北朝鮮では、4月中旬頃から主食のトウモロコシの植え付けが始まるが、その前に畑を鋤き堆肥を施す作業をしなければならない。4月から6月までは、軍人、労働者、学生が総出で農作業をする。
金正恩政権は、ミサイル発射の兆候を見せて、外部世界に対しては依然戦争の危機を煽る一方で、例年通り軍人を農作業に動員して戦時態勢を緩めている。前線や特殊部隊の様子は定かではないが、2月から始まった全国的な臨戦態勢は解除されているものと推測される。