
◆自分のルーツは一つではない
問:韓国ではどんな旅をしたんですか
リ:私は古いお寺や建物を見るのが好きです。そういう場所では落ち着くんです。ソウルではそうした古跡や博物館を見て回りました。
そして、この国の歴史や文化を何も知らずに韓国人になりすまそうとしても、それは土台無理なのだと悟りました。
その一方で、韓国で古い建物を見て回りながら、それが自分の国のものであるかのようにも感じました。
以前に京都を観光したときも、そこが自分のルーツの一つだと感じたし、自分には祖国と思える国が3つもあるのだと、そのとき幸せに感じることが出来ました。
日本に戻ってからは、思い悩む暇もないほど大学の単位を取るのに必死だったせいもありますが、気持ちは少しずつ落ち着いてゆきました。
北朝鮮から来たことを恥ずかしいという思いは、今はもうありません。いろいろな国とつながっていることで、得した気分さえします。今はひとりの在日コリアンとして、そして日本社会の一員として生きていきたいと考えています。
(続く)