在日朝鮮人を主な標的とし、「殺せ」、「出て行け」といった過激な言葉で街頭宣伝を行う排外主義団体の存在が、大きくクローズアップされている。彼らの行う「ヘイト活動」について、ジャーナリストの安田浩一さんに聞くインタビュー第2弾。(ラジオフォーラム リ・シネ)
Q:どういった人が「ヘイト活動」に参加しているのでしょうか?
安田:幅広い層が参加しています。下は中学生から上は70代。性別もバラバラです。
属性を一口に語るわけにはいきませんが、どこかで共通しているという部分があるとすれば、自分の主張を補強するためにインターネットをとにかく利用する人々。そして自分の主張に都合のいい言説を取り出すことに長けている人々ではないでしょうか。
さまざまな背景を持つ人々が、一種のカタルシスを得るため、そして何かを発散するために路上に出てきているという部分があります。インターネットではそれを煽るような様々な情報が飛び交っています。
Q:ヘイト活動を繰り広げる「在日特権を許さない市民の会」(在特会)。その会員の傾向は?
安田:断言は出来ませんが、何かの不満、憤りを抱えている人が多い。自分はあらゆるものから圧迫を受けており、その源をたどれば在日コリアンである、という単純な思考に陥っています。生身の在日を知らず、インターネット上で作られた想像上のモンスターである在日を異常に恐れており、隣の国にはモンスターを生みだすモンスターがいると思い込んでいる。過剰な恐怖、過剰でいびつな憤りを抱えている人が多い。
Q:被害者意識を持っているとも言えますね。
安田:そうですね。生活保護をめぐる議論をはじめ、在日コリアンが福祉にただ乗りしているという理論が運動の核になっている場合もあります。外国人に福祉だけでなく、領土もメディアも資本も権力も奪われているという神話や妄想に囚われている。しかし、権利獲得の運動にはならず、権利を持っていると決め付けた人々を、自分たちの地平まで引きずり降ろそうとすることに終始しているのが特徴的です。
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