◆在特会らの活動は今後どうなっていくのか
この日、在特会らと近しい愛国矜持会代表の竹井信一氏から話を伺った。
私は2月からこれまで、差別排外デモについて、大阪・東京の反対行動参加者を始め、京都朝鮮学校襲撃事件の関係者、地元の人、在特会や行動する保守系の人など、200人以上に話を聞いた。
悲しいけれど、多くの人が現在の状況について、「差別を育てる土壌が日本にある以上、在特会的なものはなくならないのではないか」、「死ね、殺せと言わなければいいと思っているだけ。(逮捕者が出たことで)参加者が減ったのは、逆風が収まるまで大人しくしているだけで、根本的なところは変わってないのでは」と答えた。
また、「なくしていかなければいけないと思うが、本来それは、日本社会と日本人の仕事ではないか」と答えた在日コリアンの保護者もいた。
こうした悲観的、後ろ向きな意見が多数を占める中、竹井氏の回答は私に希望を与えるものだった。
「今がピーク、あとは何らかの形で(在日コリアン側と)歩み寄っていく。それを今、僕も考えている。歩み寄るというか、ほんまに仲良くせなアカンと思うんですよ、仲良くできる範囲で。その仲良くできる範囲を今、僕は探している。個人的な考えだけれども。中にはそんなことはできないという人もいるが、それをまとめる人が必要。(お互いの団体に)そういう方がいないので、そういった人が出てくれば(差別排外主義の活動は)なくなると思いますよ」
在特会と近い立場の人から、こういった意見が出たことに驚くとともに、光が見えたようにも感じた。
その一方で、竹井氏の回答には疑問も残る。「お互いに歩み寄る」とはどういうことなのだろうか。在日側からすれば、ありもしない「在日特権」を理由に糾弾され、一方的に罵声を浴びせられているようにしか思えないのだ。
ただ、対話のチャンネルは残しておかなければと思っている。在特会側と対話することには様々な方面から反発もあるし、自分自身も葛藤を抱いている。けれど、どうせ罵声を浴びせられるのなら、前向きな気持ちでそれに臨みたい。
神戸で、私は、街宣を終えた桜井会長にインタビューを試みた。
(続き)